Quailの日々雑甘

本物志向でもなきゃ違いのわかる舌もなく、お菓子ならなんでもおいしい雑食的日々の記

むし太郎

賞味期限到来のためサービス品になっていたからと、姉がヤマザキむし太郎なる蒸しパン(みそ味)を買ってきてくれた。

聞けば、いくら期限当日とはいえ腰が抜けるようなやけくそ価格。なんと5個入りで10円だと。先週末に私が見かけたときは198円だったっスよ。


パッケージの説明書きによると、むし太郎の名前の由来は十和田湖にまつわる伝説からきているそうな。十和田湖の主だった八之太郎を征伐した南祖坊が、道中の茶屋で食べたおいしい蒸し菓子を人々に伝えたと。

蒸しパンにもいろんなタイプがあるけど、これはわりときめの細かな生地で、そんなにもそもそせずに食べやすい。十和田湖の伝説にちなんでか、十和田湖・八甲田の清水の伏流水を使っているとのこと。味噌の香りがほんのりして、表面に散らしたゴマも合うし、けっこうおいしかった。


八之太郎と南祖坊のお話は家にある昔話の本に収められていて、うん十年ぶりに読み返しながら、八之太郎は「征伐」されるようなことはなんもないのに、せっかく見つけた安住の地を南祖坊に無理やり追われただけじゃん!と、これまたうん十年ぶりに切なくなってしまった。子供心にも八之太郎がかわいそうだったんだよなあ。

実家にあった日本の昔話やら世界の童話集、名作集は、引越しの際に私がすべて引き取ってきたけど、どんなに場所塞ぎでもやっぱり捨てられない。子供のころからなじんだ、私のバックボーンの一部だもの。


10円の蒸しパンに端を発して、しみじみとそんなことを考えてしまったことよ。